Alfail Another "a day" -散華想-

久々に、全く新しいネタ拍手シリーズが届きました。
題名は『Alfail Another "a day" -散華想-』。


新たな挑戦に挑んでくれたこのネタ師様に敬意を表して、
ちょっと今回は拍手レスに気合を入れて臨みました♪

○Alfail Another "a day" -散華想- 『開演:はじまりの朝』

ちゅんちゅんと、雀の鳴き声が聞こえる。


アル

「……あれ?」



間抜けな声を上げながら目が醒めた。
昨夜はまたも大規模な宴会だった。若干前後不覚だったかもしれない。
しばし、呆然としながらも身を起こす、と……


アル

「んん?」



よく片付けられた部屋だった。本も本棚に納められ、整理されている。
勉強机の上にはノートパソコン。割と高そうな一品だ。
さらに細々とした物が当りに置かれているが、雑然とした感覚は覚えない。
良い部屋だった。だが、問題があるとすれば……


アル

「……ここ、どこ?」



それが問題だった。この部屋は綺麗だが見覚えは…………

――作業中断。認識混濁を確認。データ再上書開始……完了。リスタート。
アル

「って、ここオレの部屋じゃないか。なに寝ぼけてるんだろ……」



頭を掻きつつ、少し首を振って眠気を振り払った。
外を見ればいい天気だった。今日も楽しい一日になるだろう。
そんな事をぼんやりと考えると、とんとんと階段を上ってくる足音が。

――作業中断。選択肢データ読み込み……完了。選択肢表示。
  1. 慧音が起こしに来たのかな?
  2. 透香さんが起こしに来たのかも。
  3. ……空耳だな。家にはオレしかいないし。

(透香さんは泉の精さんという事でお願いします)



……さて、どうしたものだろう?
目の前に突如現れた三つの選択肢。
(冗談じゃなく、三つの選択先が描かれた石碑が突然に降ってきた)

さあ、好きな選択肢を選ぶがいい。

割と黙れ。
というか先刻から聞こえてくるようなこの声は何なんだろう?
まあいいか……ともかく、って……また凄い選択肢だよな、これ(汗
どっちか、か……。


なら、泉の精は前にも朝起こしてもらった事があるし


アル

「一番の、「慧音が起こしに来たのかな?」かな……?」

選択肢、選択完――

ばたぁんっ!!

アル

「!?」

――!?


選択肢を選んだ瞬間、凄まじい勢いで、襖が押し開けられる。
まるで地獄の底へ繋がる穴を思わせるようなその奥から現れたのは――

謎の声?

「ふふふ……あなたが落としたのは、この金の片道切符ですか?
 それとも……この銀の片道切符ですか?」

アル

「な!? ななな、ちょっ、って、か、片道切符?」


オレが聞き返すと、彼女は「困ったさんですね」と言わんばかりに、
くすくすと笑いながらにっこりと笑顔を形作り――

謎の声?

「ええ。――大丈夫、痛みを感じる瞬間さえ与えませんから」


瞬間吹き上がる、圧倒的なまでのプレッシャー。
一歩も動き出す事叶わなくなったオレの前に現れる二つのハリセン。
軽くて丈夫、使い込むほどしっくりくるミスリル製のそれは、
今までの彼女との付き合いで嫌というほど『使い込まれて』いて――

謎の泉の精

「決まったわ、滅びの銃弾をその身に受けるがいい。 肉の一片まで消し去ってあげる。
 体を撃ち砕き赤き霧に変え、地面に滴る赤黒い染みになるのよ。
 綺麗よ、とっても綺麗。 早く見てみたいわ。 
 あははははははははははははははははははははははははっ!!!」

アル

「って待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」




〜暫くお待ち下さい〜


……さ、作業中断。観測者の死亡を確認。リザレクション開始……完了。リスタート。
アル

「……はっ!?」


慌てて飛び起きた時、僕の目の前には相変わらず三つの選択肢。
何か、凄い恐怖を体感したような気がするんだけれど……気のせいか。
何故か床一面に撒き散らされた血痕があるけれど、これもきっと気のせいだろう。


改めて選択肢を見やる。
1を選択しようと――思ったのだけれど、ふと。
机の上にあるノートPCの存在が、それを思いとどまらせる。
確か、パソコンの無い幻想郷では、オレはずっと肉筆で書き続けていた。
ということは……ここは多分、幻想郷じゃない。


だと、するなら。
前に一度、起こしてもらった事もあるし――

アル

「2番の……『透香さんが起こしに来たのかも。』で」


選択肢、選択完――

どっごぉおぁんっ!!

アル

「ちょっ!?」

また!?


選択した瞬間、廊下から叩き込まれた濃密な弾幕に襖が吹っ飛ばされる。
舞い上がった粉塵の中、ゆっくりと現れる少女のシルエット――


その姿には似つかわしくない、天を衝く尖塔のような影が、二本――


謎の声2?

「ふふっ……伊達や酔狂でこんな頭をしているわけではないぞ、アル……」

アル

「何故にアルトアイゼンッ!?」



叫びながらも、大体次の展開がわかってしまう。
これが ひとの サガか(違

謎の声2?

「とった!」

アル

「取るなああああああ!!」


一応叫びながら逃走を試みる――
彼女に、背中を向ける形で。


けれど、それこそが――

謎の声2?

「どんな菊座だろうと……!!」


彼女の必殺の一撃が、炸裂する瞬間――!!

謎の上白沢 慧音

「ただ、撃ち貫くのみ――caved!!!!」

アル

「ひ ぎ ぃ ! ?」




〜暫くお待ち下(ry



アル

ウボァー ……はっ!?」


慌てて飛び起きた時、目の前にはまたも選択肢。
…………なんというか、このまま選択肢を選ばずにもう一度眠っちゃ駄目ですか?(涙

なんてーか……fate級の死亡ルート連発ですな……。
アル

「放って置いてください(涙」

あるきゅんスタンプあげましょう。ぽんぽんっと。
アル

「激しくいらねぇ!! というかっ!?
 それならタイガー道場とか知得留先生とかそういうコーナーないんですかっ!?」

あー……えっと、一応あの二人がスタンバってますけど。
両方ともウェディングドレス着用で。
アル

「何そのさらなる泥沼死亡ルート……_| ̄|●|||」



気を取り直して。
2番を選択しようとして……僕はそれを留める。
思えば僕は、血染めの儀式を経てからは泉の精を「さん」付けで呼ばない。
ここでは「透香」と呼び捨てだろう。そこにある違和感は無視できない。

アル

「ということで、3番の『……空耳だな。家にはオレしかいないし。』で」

ギャルゲー主人公にあるまじき選択肢!
アル

「立場入れ替わって差し上げましょうか?」


オレの提案に、思いっきり眼を逸らして無言を保つ。いや姿は見えないのだけれど。
くそぅ、それが人間関係を円滑に進めるための効果的手段ってヤツかよ!(涙

気を取り直して。……選択肢、選択完了。


何だか色々悲しくなってきたけれど、オレはこの選択を完了する。
カムバック平穏、二人とも好きだけど流石に進んで死にたくないんだ……。



……けれど。
この時、オレは――オレと、この謎の声は。
甘く見ていたのかもしれなかった。


一縷の幻想に、かけたかったといっても良かったのかもしれない――

謎の声?

「あの方は私のものですっ! これっぽっちも渡すわけにはいきません!」

謎の声2?

「如何なる理由があろうと、こればかりは譲れんぞ――アルは私のものだ!」

謎の声?

「くっ……このまま言い争っていても平行線ですね……!!」

謎の声2?

「そうだな……ならば、もう一人の当事者の意見を取り入れることとしよう」

謎の声?

「その意見には賛成です。……意外と気が合いますね」

謎の声2?

「同じ者を好きになった者同士だからかもしれないな……」


そんな話し声と共に、階段を上ってくる足音は『二つ』。
……確かに、あの二人なら……。
選択しなかったら、自分から押しかけてきてもおかしくないとは思う。思うけれど……。


アル

「……何だろう。オレ、この受難を乗り越えたら英霊にもなれそうな気がする……_| ̄|●|||」


応える声は無く。
心に空しさを覚えながらも、オレは必死に。
『……空耳だな。家にはオレしかいないし。』と心に念じながら。
――襖が開かれるその時を待つこととした――