風使い

風で思い出した。
小学一年生……二年生ぐらいかな? の頃。


風を操ることが出来た。


あ、いや待ってブラウザ閉じないで。
少なくとも、自分はあの頃、それを信じていたということでして。


操るというよりは、呼ぶといった方がいいのかもしれない。
来て欲しいと願うと、風はいつも、そっと吹き抜けていった。


単なる偶然の連続。
小学生の思い込みとすることで決着をつけてもいいと思う。というかそれが普通。
でももしかしたら、本当に小さいころは『風使い』だった――なんて夢のある話でもいい。


誰も周りにいなくても、風はいつも傍にいた。


あれから十余年。
体はずっと大きくなって、今はその思い出を懐かしむくらいには時間を刻んで。


今も――この体を撫でて、吹きぬけていく風は。
あの頃と変わりなく、傍にいてくれる。


少し泣いた。