無題

過去の自分……か。
いつか立ち返る時が来るんだろうか。
頑なに閉ざした扉の奥、そうしなければ自分も保てなかった頃に。
そう遠い日の事じゃない。
まだ過去として思い出すには浅い人生。


でも。


どんな事もふわりと受け止め、さらりさらりと歩く背中。
最後には全部自然な笑顔で笑って、紡がれた新しい命。
形は違っても、自分に真っ直ぐある強さ。


目指す理想、体現していった人達に。
今なら笑って、その後を追いかけられる。




開いた扉の向こう、風の感触は怖かったけれど。
この肺を満たす新鮮な空気、扉の外でしか吸う事は出来ないから。
自分を飾らなくていい。
自分を護る言葉はいらない。
臆病にならなくってもいい。
自分に言い聞かせなくったって、自然と歩いていける。


もう二度と、誰にも侵されることはないから。
侵されないものが、この心には宿っているから。


「輝く自分」になりたいんじゃない。
真っ直ぐ歩くその姿が、輝いているということ。
ならオレは模倣じゃなく、自分に真っ直ぐにこの道を歩こう。
もう、それはきっとオレにとって、難しい事じゃないから。


行きたいところへ行ける足がある。
だったら、きっと大丈夫。
過去に苛まれても、今目の前に伸びる道はそれ以上に楽しいから。



悲しい事も嬉しい事も、全て言の葉の上に乗せて。
最後の一滴まで楽しんで、楽しいんだと伝えてみたい。


――『自分自身を生きる』ということ。