歯車の思考、噛み合う


gunaさんもう一曲のほうも、どうぞ。



この思考は冷たき歯車。
この体に流れるのは静寂の夜。


目を開ける。
時間だ。


分厚い輸送機の扉を開く。
上空数千mの上空。
吹き抜ける気流は刃のように鋭く。


見上げれば、透明な月の輝き。
手の中には、馴染んだ鋼の輝き。


「しくじるなよ?」


輸送機を操る――操縦士のその言葉に。


「――無論です」


風の中、琥珀の髪をかき上げながら――少年は、応えた。


「私は“三日月”――夜を識る者なのですから」


少年は飛ぶ。
何の躊躇いもなく、眼下へ広がる光の洪水の中へ。


策謀蠢く摩天楼へと降りていく、少年の脳裏。


――全ての歯車が、噛み合っていく。