2005-11-11 歯車の思考、噛み合う 月夜のおとぎばなし gunaさんのもう一曲のほうも、どうぞ。 この思考は冷たき歯車。 この体に流れるのは静寂の夜。 目を開ける。 時間だ。 分厚い輸送機の扉を開く。 上空数千mの上空。 吹き抜ける気流は刃のように鋭く。 見上げれば、透明な月の輝き。 手の中には、馴染んだ鋼の輝き。 「しくじるなよ?」 輸送機を操る――操縦士のその言葉に。 「――無論です」 風の中、琥珀の髪をかき上げながら――少年は、応えた。 「私は“三日月”――夜を識る者なのですから」 少年は飛ぶ。 何の躊躇いもなく、眼下へ広がる光の洪水の中へ。 策謀蠢く摩天楼へと降りていく、少年の脳裏。 ――全ての歯車が、噛み合っていく。