Blood emperor -血を統べし者 14-

書き上げたのにアップするの忘れてたよ;

Blood emperor -血を統べし者 14-

「――だが、自分を誇れる人間など、全体からみてほんの一握りの話だ。
 誰もが皆自分を貫き、生き様を誇れるほど強いわけではない。
 それは例え、教会の聖職者であってもそれは変わるまい?
 利他の為に誰もが生涯を賭せるならば、今頃教会は列聖申請の手続きで十年先まで無休の日々だろうよ」


そう言って、軽く肩をすくめておどけてみせるヴィー。
だがしかし、その最後の物言いだけには――頷くことは出来ない。


「神父ヴィー。貴方は神の徒たる資質が、予め限られた人にしか与えられていないと仰るのですか?」
「ある意味はな。本当に心から利他の為に尽くし、貫ける人間など数は限られる」


彼は即座に頷き――


「付け加えておくが、それが資質無き者にとっての信仰を無意味だと断定するものではない。
 お前は事が教会に関わってくると著しく平静を無くす――もう少し、人の話は聞く事だ」


鋭く射ち込まれた釘に、うっと息を詰まらせるミルファ
神父の物言いは尊大で癪だが、その事と口にした事の正当性の是非は直接的な関係が無い。
第一、もし納得がいかないのであれば――冷静に論理を立てて、この口達者な神父を論破すれば済む話である。
彼が聖職者であることを考えれば、教義を提示してその姿勢を是正させるべきなのだろうが――
幸か不幸か、教会の司祭であるはずのこの男の中に、神に対する信仰というものは微塵一切存在しないことを。


彼と組んでから、一年――この一年の間で、骨身に染みて理解していた。