解析画面を見るのが楽しみで仕方ないw
>おー長男らしー。リク出した甲斐があったというものですよー。

まあ、元々書き上げていたものですからw
さあ、早いところ完成させますか……っと。
>アルキュンのしっぽはとても敏感っと……φ(..)
使い道の無いことをいちいちメモしないように(笑
尻尾って感度高そうじゃありません?
だからこう、大事に扱うようにさわさわもふもふされるときっと赤面轟沈しちゃうんですよ。


オレじゃなくて、尻尾つきの萌えっ子諸兄ね?(汗

『鈴音がいざなうは……』


「ねぇ、そこのお兄さんっ! トマト買っていかない?」


夕焼けに染まる並木道。
暑かった日中と違い、今は心地よい風が木々の間を吹き抜けている。
近道をしようと思って脇道になる農道へ入ってのんびり歩いていると声を掛けられた。
見ると所々錆の出たトタン屋根の小さな小屋の前に
ゆったりとしたノースリーブの白いワンピースに麦わら帽子をかぶった女の子が笑顔で手を振っている。


ちりんちりんっと軽やかな音を立てて鈴の音が響く。
女の子の手首に赤いひもで結びつけられた小さな鈴の音だ。
小屋の中には廃材で作られた簡素な台があり、その隅にいろいろな大きさの竹かごが綺麗に纏められていた。
どうやら近所の農家がとりたての野菜などを売るための小屋らしい。
台の上が片づけられているから荷物を纏めて帰ろうとしてるところにちょうど通りかかったのだろう。


台の側に立つ女の子の足には飾り気のない水色のビーチサンダル。
きゅっと締まったふくらはぎ、こんがり小麦色に焼け健康的でむっちりとしたふともも。
白い布地を大きく押し上げ、見事な谷間を形作っている二つの膨らみ。
大きく開いた胸元には水着の日焼け跡がくっきりと見える。


「ちょっとお兄さんっ! 買って欲しいのはトマト。
 いやらしい目であたいを品定めしてどうするのさ。」
女の子は腰に手を当て頬を少しふくらませてこちらを睨んでいる。
「いや、すまない。 君が綺麗なんでつい。」
「もしかして口説いてんの? デートしたいならトマト買ってくれれば考えてもいいよ。」
「そんなつもりじゃ……。」
「お兄さん、からかうと面白いね♪」
ころころと鈴の音のような声で喋る女の子。
「あのな……。」
「ほら、手、だして。」
女の子がこちらの手をつかみ手のひらに真っ赤に熟したトマトをのせる。
「美味しそうでしょう?」
女の子の手のひらにも同じように真っ赤に熟したトマトがのっている。


「こうしてね。」


ぐじゅっ……。


トマトが握りつぶされ真っ赤な汁が指の間からあふれ腕を伝い肘から滴となって地面へとしたたり落ちる。


「握りつぶすと真っ赤な汁が出てきれいでしょう?」


先ほどまで吹いていた心地よい風が生暖かく湿った風に変わる。
ふと、地面を見ると女の子を中心に赤黒く染まっている。


そして、女の子の足下にはサッカーボールほどの赤黒い物がいくつも転がっている。


「どうしたの? お兄さんもやってみなよ。」


女の子は手についた赤黒く変色した汁をぺろぺろとなめとっている。
鮮やかな赤い色した唇の端からねっとりとした赤い液体がつぅっとこぼれ落ちる。


真っ白なはずのワンピースは赤黒く染まり体にぴったりと張り付いて、
女の子の肉感的な体の線をくっきりとさらしていた。
うつむいた顔の半分以上を麦わら帽子のツバが隠し、その表情を伺うことはできない。


ふと、自分の手のひらにのせられている物を見ると、先ほどのトマトではなく赤黒い汁を滴らせた……


しゃんっ!


いくつもの鈴の音が重なったような音が響き目が一瞬かすむ。
涼やかな風が木々の間を凪ぎざざっと木の葉が擦れる音がする。
女の子の姿は一瞬の間に掻き消えていた。
台の上には竹かごに盛られた真っ赤に熟したトマトが一山のっている。
呆然と立ちつくしていたところへ後ろから突然声が掛けられる。


「悪いねぇ、兄さん。 今日はもうお終いだよ。」


ぎょっとして振り返るとリヤカーを引いたおばあちゃんが申し訳なさそうな表情で立っていた。
「よっこらせっと。 年を取ると物忘れがひどくなっていけないねぇ。」
おばあちゃんは台の上にまとめられていた竹かごをリヤカーに積みはじめる。
どうやら置き忘れていった竹かごを取りに戻ってきたらしい。
「ありゃ、おかしいねぇ。 全部売り切ったはずなんじゃが。
 兄さん、よかったら持っていくかい?」
台の上のトマトに気がついたおばあちゃんは竹かごをこちらに差し出してくる。
「いえ、ただで貰うわけには。」
「いいって、また買いに来てくれるんじゃろう? さあ、持って行きなさいな。」
そういって竹かごを手に取らせると、元来た方へリヤカーを引いて歩き始める。


「あの……。」


ちりんちりんっと鈴音が響く。
竹かごをよく見ると赤いひもで小さな鈴が二個結びつけられている。


ちりんちりんっ


風に揺らされたのか鈴音がまた響く。 
呼び止められたときの女の子の笑顔が浮かぶ。 ……持って帰るか。


〜〜〜〜〜

泉の精

「それで、なぜ私を呼んだのですか?」

アル

「いや、正直このまま食べていい物かどうかと思って。」


と、起こった出来事を話す。

泉の精

「全く、あなたという人はつくづく怪しげなものに好かれるのですね。」

アル

「まあね。 君も……いや、なんでもない。」


君もその一人だよ。 という言葉を口に出しかけて慌ててつぐむ。

泉の精

「なんですか、今の間は。」

泉の精のお姉様

「そうよ、いくらその女の子が魅力的な体をしてるからっていやらしい目で嘗め回すように見つめるのは
 どうなのかしら?」

アル

「いつからそこにっていうか、そんないやらしい目でなんか見てないですよ、確かにすごかったけど。
 それはそうと何か知ってますね?」

泉の精のお姉様

「あら、私が知っているのはふとももや胸の谷間に視線が釘付けになっていたことぐらいかしら。」

アル

「そうじゃなくてですね。」

泉の精のお姉様

「わたしよりもあの子と話をした方がいいんじゃないかしら?
 すごく怒っているみたいだけど。 嘘でもいいから言い訳した方がいいんじゃないかしら。」

泉の精

「(ぶいんっ)私に話したときはそんな描写は一言もなかったようですが。
 (ぶいんっ)どういうことか納得いくまで説明して貰いましょうかっ!」

うわ怖ッ!?
めっさめさ怖!?(笑


と、思いつつも……やはり「魅力的」だなぁとも。
まあ、捕食次女で耐性ついたってのもあるんでしょうけどね(笑


こういう、怪談チックで、でも綺麗で懐かしい雰囲気を出せるとは……。
泉の精の拍手の人、やっぱあなたのネタは大好きですw


……ところで、お姉様。
「何かしら? 随分と絞られたわね、その様子」
_| ̄|●||| ……というか、それは別にいいんですよ……_| ̄|●|||
それより、この鈴なんですけど……(ちりん) 持ってても大丈夫ですか?
「あら……どうして?」
いや……何と言うか……確かに、怖いことは怖かったんですけど。
……あの子、それだけじゃないなぁ……って、思ったものがあって。
でも、もしこの鈴の呪いとかだったりしたら――
「ふむ……そうね。さほど東洋の百鬼夜行に詳しいわけじゃないけれど、大丈夫じゃないかしら?」
……本当に?
「ええ。保障は出来ないけれど――まず第一に、もうその鈴からは何の力も感じないもの。
 元々鈴には魔を打ち払う音がある以上、悪質な悪霊が憑くとも思えないし。
 ……でも、理屈より何より――嫌なんでしょう? これを捨てるのが」

……はい。
少なくとも……オレが一番最初に見た、あの笑顔は。
偽ったものには見えませんでしたから。
「無邪気に善悪の区別がついてないっていう可能性もあるのだけれどね……。
 まあ、いいわ。貴方らしい判断ではあるし――
 多少の凶事があっても、これだけ色々な精霊や幻想の存在と触れている貴方なら大丈夫だと思うわ。
 あの子もいるし――いざとなったら私も面倒見てあげるから」

……ありがとうございます。
でも珍しいですね、お姉様が真面目に応えてくれるのは。
「くすくす。……気付いてないのかしら?」

「顔。……そんなに真剣に考えてるなら、流石に茶化したりしないわよ。
 真剣に悩んでるのだったら話は別だけど、ね」


彼女が何だったのか、何を伝えたかったのか。
良く判らないし――ひょっとして、この判断は間違っているのかもしれないけれど。


「……なるほど。携帯のストラップにつけるとは、考えたわね」


もう一度会ってみたいっていう気持ちがある。
あの笑顔をもう一度見てみたいから。


……鈴音(すずね)、かな。
「?」
この鈴の――名前です。


そう言ってオレは、鈴を鳴らす。
ちりんと響く、軽やかな音は。


少女の笑顔のように――よく澄んでいた。