クリスマスっていうことで

折角クリスマスなのだから、一つくらい記念に何か書こうぜー! ということで。
ちょっとした座談会風味なSSっぽいものを書いてみました。


登場するのは、うちのサイトで公開してる作品+オレがネタにされてる作品。
地文は無く、台詞オンリー。
雰囲気はどちらかというとネタ拍手的なテンションですね。
……勢いだけですが。雰囲気くらいはクリスマスチックだといいなぁ……。
キャラに個性がありすぎて、こいつらいつもこんな感じだしなぁ(爆死

クライン・ヘルツ

「さあ、折角のクリスマスなんだから。しっかりエスコートしてもらうわよ、アル?」

アル

「ちょっ、お嬢、腕引っ張るなっていうかこれじゃどっちが先導してるか判らないって!?」

クライン

「ふふん、何時ぞやのお返しよ。たっぷり引きずり回してあげるから覚悟しなさい」

アル

「な、マジかよぉぉぉぉ……」







アル

「ふぅ……」

ラディ・オルティニア

「……? どうした、アル」

アル

「何と言うか、ああいうカップルの姿見てると、何が悲しくてクリスマスで仕事三昧な日々送らないとならないのか……」

ラディ

「そう腐るなよ。今日を楽しんでいる人がいればその分、その人たちをもてなしている方に休みは無いんだからさ」

アル

「……そうだな。まあ、愚痴ってもしかたない、か」

ラディ

「そうそう。クリスマスって事もあって少しは給金に色をつけてくれるだろうし。
 現金だけど、それの使い道でも考えながら頑張ろう」

アル

「給料の使い道か……どうせなら、ぱぁっと使いたいよなぁ」

ラディ

「そうそう。……あ、でも、その前に……家の玄関の蛍光灯、切れてたな」

アル

「うちはあれがほしいなぁ……すき間テープ」

ラディ

「あー……今年は二十年ぶりの寒冬らしいしな」

アル

「寝てるとこう、寒いんだよな……吹き抜ける隙間風が。ベランダガラス張りだし」

ラディ

「何ならカーテンも二重にしてみたらどうだ? それだけで部屋の温度がかなり――」



ミレイユ

「ラ・ディ・ー・っ♪」



ラディ

「うぉあっ!? ミ、ミレイユ!?」

ミレイユ

「んふふ〜♪ 相変わらず地味な話してるわよねぇ、本当に♪」

ラディ

「誰が地味だッ! というか、今日は予定が詰まってるとか言ってなかったか!?」

ミレイユ

「面倒だからさくっと端折ってきたわよ♪ さあ、今日は聖夜なんだしガンガンいくわよ?」



アル

「ああ、ここにも一人、裏切り者がいたか……」

ラディ

「って待て!? いや、オレとミレイユはそういう関係じゃ――」

ミレイユ

「無いの?」

ラディ

「オレに聞くのかそれは!?」

アル

「主よ……なんだか最近、オレの目の前で惚気警報発令中です」

ラディ

「お前の家仏教徒なんじゃ無かったのかよ!? というかそんな冗談で済ませてられないんだって!
 ミレイユに付き合って酔い潰されるオレの身にも――」

アル

「フ……男には孤独こそ似合うものぞ。さあ、勤労青年は盆も正月も無く仕事仕事――」



ミスト

「偉いですね、アルさんは〜♪」



アル

「!?? ミ、ミミミミストさん何でこんなところにッ!?」

ラディ

「……なんだ、まるで自分が一人身のような言い草の割にいるんじゃないかそういう人」

アル

「だから待とうかちょっ!? まだミストさんとオレは、そういうもんじゃなくって――」

ミスト

「ふふ……アルさん、あったかいですね〜……ぎゅー……」

アル

「ああうあ抱き付ッ!? というかミストさん……すでに出来上がってるし!?」

ラディ

「凄い酔い方だな……」

ミレイユ

「そこの道の影でやけに気合入れてる割には足が右往左往してたから、気付けにちょっとねー♪」

アル

「あんたのせいかあああああああああああああああッ!!」

ミレイユ

「さあ、皆の意見がひとつになったところでガンガンいきましょう♪」

ミスト

「ごーごーですよ〜♪」

アル

「ちょ、何だこの受難編的流れはあああああああああっ!?」

ラディ

「オレの、オレの蛍光灯が、新しい仕事がぁぁぁぁぁぁ……!!」

セレナ

「はいっ☆ ということで今日はクリスマス〜☆
 よい子も悪い子もベッドの中でサンタさんが来るのをわくわくしながら待ってたり☆
 でもあたしのサンタさんはちょっと無粋で直接的☆
 むしろあたしがプレゼントっていうかいわゆる一つの『いたただきま――」

ユウイチ

「よし黙れ。果てしなく黙れ。未来永劫永久的にこの硬い鉄拳で黙るといい」


(がすっ! がすがす!! がすがすがすがすがす……)

セレナ

「うう……ユーイチの愛が若くねじれてるよ……」

ユウイチ

「次は硬いバールか何かでやってみるとその思考回路がまともに戻るかもしれんな」

セレナ

「こんな激しい愛さえも暖かく迎えるあたしって良妻の資格あるかな……?」

ユウイチ

「……ここで永眠させてやろうか……まったく」

セレナ

「ん、でもあたしのこういう馬鹿なやりとりに付き合ってくれるユーイチが好きなのは本当だよ?」

ユウイチ

「……まったく……いいから、少し黙ってろ」


(ぐいっ……)

セレナ

「……ぁ……」

ユウイチ

「……別に『付き合ってやってる』訳じゃない。俺がそうしたいからここにいるだけだ」

セレナ

「…………ん……ありがと……☆」

ユウイチ

「気にするな。……惚れた弱みというやつだ」



トト

「……ああいう若い子達のやりとりにちょっとした憧れを抱く今日この頃」

アトリ

「お前はああいうのが好みか……しまったな、読み違えたか。
 折角今日は伊勢に海老でも食べに行こうと予定を立てていたんだが、それなら――」

トト

「アトリ、何そこで突っ立ってるの――即座に行動を最適化、よ♪」

アトリ

「……伊勢海老でいいのか?」

トト

「もちろんじゃない♪ もう私は大満足で空も飛べる勢いよ?」

アトリ

「お前が言うと本当に空を飛びかねんな……」

トト

「……それに。どんな場所、どんな時代……どんな境遇でも」




(ぎゅっ……)



トト

「アトリが傍にいるのなら、世界は素敵になるんだから♪」

「クリスマス宴会ー! 宴会と言えば俺の出番ですな!」

映姫

「貴方はいつもそればっかりですね……」

「それが俺の刃――ネタ師としての誇りですから♪ ……っと」

映姫

「……?」

「映姫さん、普段とは違う格好なんですね」

映姫

「こ、こういう時の礼儀というものです。悪かったですね、似合ってなくて……」

「え? 俺、別に似合ってないなんて思ってませんけど。
 普段よりずっと大人っぽい格好ですけど――とても素敵ですよ」

映姫

「っ!!??」

「まあ、それはさておきですね」

映姫

「さ、さておき……!?」

「今日は俺もばっちり決めてきたんですよ? どうですか、この伊達男っぷり」

映姫

「ま、馬子にも衣装というものです」

「ひ、ひでぇ……これでも一応、渾身の一張羅なのに……」

映姫

「……貴方の輝きは、格好に左右されるものではないということです」

「……へ?」

映姫

「な、何でもありませんっ! いちいち何度も聞き返さないで下さいっ!!」









ミスティア

「あ・な・た〜♪ ……って、どうしたの珍しく真面目な顔で」

パパラッチ

「珍しくは余計だ。……ちょっとな」

ミスティア

「……どうしたの?」

パパラッチ

「俺が幻想郷に来て一年――このカメラ提げて走り回ったけど。
 なかなか、俺の思い描く一枚が取れないもんだなぁ……って、な」

ミスティア

「そういうものなの?」

パパラッチ

「思い出の鮮明さは、時間がたつにつれてやがて薄れていく。
 で、その鮮明さを当時のままに残すのが、俺の相棒……ってことになるけど、こいつも万能じゃない。
 普通の写真は、時間がたてば、その思い出にまつわる想いが……だんだんと、薄れていく。
 ……俺がなりたいと思ったのは記者だけど、自分でこうやってカメラ握って写真を撮るんだ。
 その時の想いが薄れないような一枚が撮れれば……いいんだけどな。まだまだ、理想には遠く及ばないか」

ミスティア

「……ねぇ、あなた。この写真――覚えてる?」

パパラッチ

「……ん……?」

ミスティア

「あなたが初めて撮ってくれた、私の笑顔。
 私は覚えてる――この写真を撮ってくれた時のあなたの嬉しそうな顔のこと……鮮やかなくらいに」

パパラッチ

「……ミスティア……」

ミスティア

「私は、あなたの撮ってくれる写真――好きよ?
 見てるだけで、こんなに想いがあふれる一枚を取れるあなたの写真と――あなたの、事が」

パパラッチ

「……ああ。そうだな――お前は俺の最高の被写体だよ」

ミスティア

「ふふ、ありがと♪ でももう少し、ロマンチックな言葉がいいかしら?」

パパラッチ

「そうだな……。愛してるよ、ミスティア

ミスティア

「んっ……♪」







レミリア

「アルキュンのクリスマスは去年と同じく、紅魔館で過ごすのよ」

輝夜

「何でそれを勝手に決めるのかしら? 今年は永遠亭で宴会っていう選択肢もあるのだから」

レミリア

「西洋の行事をあんな純和風の屋敷で行うというのかい?」

輝夜

「それが日本っていう国の特色でしょう?
 第一それを言ったら、吸血鬼が聖夜を祝うのだって十分におかしいじゃないの」

レミリア

「む……」

輝夜

「ぐ……」



永琳

「夏場と違って、宴会会場を外に設けられない所が冬の難点かしら」

咲夜

「どちらにせよ、準備に取り掛かる作業はさほど変わらないのだけれど……」

永琳

「なるべく早く決着を見てほしいものね」

咲夜

「ええ」



アル

「……どうでもいいけど、人の家に上がりこんで討論することなのか……?」

慧音

「まあ、こういう賑やかさは嫌いじゃないがな」

アル

「それはオレもそうだけど……そういえば慧音、クリスマス知ってるんだな」

慧音

「白沢だからな……と言いたいところだが、幻想郷でもクリスマスを祝う習慣はすでに普及しているのでな」

アル

「……何か、慧音がサンタの格好してプレゼント配ってる姿を想像したよ」

慧音

「それなら実際に行っているぞ」

アル

「本当かよ!?」

慧音

「毎年と言うわけにはいかないが、な……妹紅にも協力してもらって、たまにな」

アル

「そっか……じゃあ慧音は、ずっと人にとってのサンタだったわけか」

慧音

「……む?」

アル

「そんな慧音のために、オレがサンタになってあげよう――なんてな♪ 欲しいもの、あるかな?」

慧音

「……それは本人に直接問いただすものなのか?」

アル

「うぐ。……それはそうだけど」

慧音

「……ふふっ。ありがとう、アル。そうだな……欲しいもの……何でもいいのか?」

アル

「あ、ああ……勿論。どんと大船に乗ったつもりで」

慧音

「……なら、私は……。アルとの間に――」

泉の精

「ちょっ、お姉様っ!?」

泉の精のお姉様

「往生際が悪いわね……発案したのはあなたじゃない」

泉の精

「あれは発案したのではなくて『こういうものもありましたね』って例示しただけですっ!」

妖精

「あの子相手にそれを思いついたんだから同じことじゃないの」

少女・ねこ

「みゅ〜♪」

泉の精のお姉様

「さあ、観念して頑張りなさい」

泉の精

「な、三人がかりで――ハリセンがっ!? あ、ああっ、乱暴にしな……変なところを触らないで……ああんっ!?」



アル

「ただいまー……っと、あれ? 誰もいないのか……?」

アル

「てっきり、これだけの面子がそろってるからパーティの準備でもしてると思ったんだけど」

アル

「……本当に誰もいない……どうしたんだろう……?」

アル

「……まあ、暫くすれば戻ってくるかな。部屋に戻って休むか……」

アル

「……クリスマス、か。これがラブコメディーなら、
 部屋の扉を開けたらリボンでラッピングされた泉の精が『自分がプレゼント』とかいう展開なんだろうけど。
 ……いや、あんまりそういう想像してたらハリセンでぼこっぼこにされるな……止めておこう。
 いくらここ暫くのオレの周りがありえないことの連続って言っても、そこまで行ったらやりすぎ――」




(がちゃり)



泉の精

「…………」

アル

「…………」

目の前にいたのは泉の精。
実際にはベッドの上に座って、
その全身は素肌に丁寧にリボンが巻きつけられている。
しかも頭の上で丁寧にちょうちょ結びされているという徹底ぶりである。

泉の精

「…………」

アル

「…………」

泉の精

「……こっ、これはお姉様達が勝手にですね……」

アル

「…………」

泉の精

「……その、私はいくらなんでもやりすぎ、だと……」

アル

「…………」

泉の精

「…………ですから、その……」



泉の精

「……や、優しくして……下さい……」



耳の先まで赤くして、微かに呟く泉の精。


その姿を見た青年は、長い長い長い長い沈黙の後に――

アル

「……ごめん」

泉の精

「…………え……?」


アル

「ちょっと……優しく出来る自信、無いかもしれない」


様々な巡り合わせと、人の縁に感謝を。


Merry Christmas from Alfail story!