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昨日の、しるぴんさんのところの「主役」について。
オレを主役にして「W主役」にしよう――などという話が出ていました。
でも、オレは言いたい。
オレは決して、主役などではないと。
何故なら。
オレは昔、主役であることを望んで――そして、結局なれなかったんだから。
オレは、昔。
『主役』になりたかった。
元々、目立ちたがりだったという事もある。
主役という響きに、憧れのようなものを抱いていたというのもある。
漠然としていて、まるで現実味の無いものだったけれど。
そう願って生きてきたオレだから、ひょっとすれば。
オレの中には、その頃に憧れた主役の断片のようなものが、僅かに存在しているのかもしれない。
でもオレは、主役にはなれなかった。
肝心要のときに。
オレはいつも居なかった。
自分の大切な人が、心や体に深い傷を―― 一生、後に残るような傷を負った時。
その人生が劇的に変わる転機を迎えた時。
決まってオレは、側にいることが出来なかった。
決まって全てが終わった後。
その人たちの側に居る『主役』の口から、事の顛末だけを聞かされるだけ。
主役とそうでないものを分けるのは、唯一つ。
『巡り合わせ』であると思う。
己自身を試される『いざという時』。
その「いざという時」に、いつもオレはいない。
その、何処が主役なのか。
もう、今月で一年になるだろうか。
去年の今頃にも、オレはそのことを非常に強く痛感した。
オレにとって、何よりもかけがえの無い子。
誰よりも幸せになって欲しいと望む、たった一人の子――
彼女が誰よりも傷ついていた時に、オレは彼女を知ることさえ出来なかった。
その時、彼女のそばに居たのは――オレではなく。
やはり「主役」だった。
口の中に広がった苦い無力感と絶望感。
オレが知るのは、いつも。
いつもいつもいつもいつも。
何もかも手遅れになった後だけだ。
いろいろなものを背負ってきた人間からすれば、甘い考えなのだろう。
人一人を背負い込むことの苦労は、並大抵のものではない。
それでも、オレは誰かを支えてみたかった。
誰かの主役に――なりたかった。
「仮面ライダーになりたかった戦闘員」を見て、なんともいえない気持ちになったのも、この辺りからかもしれない。
主人公になりたかった、少年。
主人公になれなかった、少年。
オレは主役なんかじゃないと、思い知らされた。
でも。
今のオレは。
決してそれを悲観してない。
何故なら、オレは。
見つけた。
オレが、これからの自身の全てをかけて、なってみたいものを。
オレは。
――オレに、なりたい。
オレらしく生きたい。
オレの可能性をもっと試したい。
明日には、もっといいオレに成長したい。
――オレは、オレを『極めて』みたい。
主役になることを望んでも、なれる人間は限られる。
だったらオレは、主役じゃなくて――オレになりたい。
主役に比べれば、格も人気も愕然と落ちるだろうけれど。
少なくとも、オレになることが出来るのは。
この世で、オレだけしかいない。
目指す道は決まった。
なら、後はどうするか?
――オレ自身の努力と研鑽で、いくらでもオレはオレを追求することが出来る。
それは、なんて、オレ向きな。
――オレらしい生き方なのだろうと。
だから、オレは主役でも脇役でもない。
オレは――オレだ。
オレの目の前に広がるのは、『主役』なんていう型の嵌った一本道なんかじゃない。
他の誰も形の似ていない、先の見えないオレだけの道。
それをこの右腕で突き貫いて進んでいく。
それが、主役でも脇役でもない、『オレ』流のやり方だ。
そこには、誰かの理解は無いのかもしれない。
お世辞にも格好いい生き様とは程遠いだろう。
泥臭くて、苦しくて、猛々しくて――熱い、そんな道。
けれどオレは、少なくとも。
――主役でないことを悔やみ、恥じ、無力感を感じていたあの頃よりも。
――今の自分に、胸を張ってやることが出来る。
だから、いつか。
――自らに納得がいくまで、この生き方を極めたら。
オレを「主役」と呼ぶものを、はっきりと否定しよう。
オレは主役じゃない。脇役でもない。
それよりもずっと奇形で、不安定で――でも、熱くて楽しくて仕方の無い。
オレは『オレ』なのだと。
笑って否定してやろう。
主役になりたかった、かつての少年。
少年は今――大人となり。
他の誰でもない『己』を、極める。